音楽放浪記

好きな音楽について気まぐれに書きます。

あっぱ『ラシポ紀』を手に入れました

先日、あっぱの「ラシポ紀」というアルバムを購入した。

 

あっぱとは、東京事変のキーボーディストとしても活躍していた伊澤一葉が2004年に結成した、ピアノ、ベース、ドラマから成る3ピースバンドである。

なお、伊澤さんはあっぱにおいては、本名の伊澤啓太郎として活動している。

 

私は、東京事変を知ったことをきっかけに、すっかり伊澤さんのピアノの虜になってしまった。そしてあっぱの存在を知り、紆余曲折を経て、ついにアルバムを手に入れたのである。

「ラシポ紀」の内容はこんなかんじ。

01 ゲンロン 
02 VIOLENCE
03 らりほー 
04 鬼の手
05 お琴しましょー
06 ジプシー
07 笑顔
08 Gスピ
09 PACCLUE
10 その透明シリアス 
11 乙女のソロ 
12 天上アフロ

 

曲名のクセがすごい。
いや、曲名だけじゃない。メロディや歌詞もクセがすごいのだ。もちろん良い意味で。

とにかく、世界観がカオスすぎる。
そもそもラシポ紀ってなんなんだ。

歌詞に関しては全く意味がわからない。
ツッコミどころが多い。

だが、悔しいことに惹きつけられてしまうのだ。

 

あっぱは音楽のジャンルでいうと何になるのだろうか。クラシック、ジャズ、ラグタイム、ポップス…。あらゆるジャンルの音楽が融合している。
いや、あっぱは何にも囚われない、あっぱという新ジャンルなのかもしれない。

 

あっぱの曲を聴いていると、なんだか落ち着かないような、なんとも言えない気持ちになる。なんだこれは。

そんな私の気持ちを見事に代弁してくれたのは、映像作家の番場秀一氏の推薦コメントである。

『なんか周りの人に気つかう音楽ってありません?
音量の問題じゃなく。ソワソワしちゃうから。
ソワソワさせちゃうから。あっぱってそういう音楽。
きっとあっぱの曲には多分に毒が
内包されてるんでしょうな。
だからあっぱニューアルバム聴かなくていいよ。
でもね。聴いた方がいっぱい得するぜ。
だってあっぱが流れたら、
ベランダのハンガーは素敵に揺れだし、
近所の野良猫はニャンニャンステップを踏む。
空の色だってほら、変わりだすぜ。』
(http://bridge-inc.net/?pid=10061711)


そうだ。ソワソワするのだ。心地よいむずがゆさというのだろうか。時々ドキッとさせられるような、独特な歌詞。揺れる水面のような歌声。それがまたクセになるのだ。今回クセしか言ってないな。

このアルバムの中で、特に好きだった曲の感想を書いていこうと思う。

 

「ジプシー」
終盤になるにつれ壮大になるメロディ。最後の方なんか、毎回聴くたびに泣きそうになる。
『土砂降りの雨 泳ぐ心が窓突き破り魂と成る』という歌詞がとても気に入っている。なぜだかわからないけれど。


「乙女のソロ」
ただただ美しい。繊細なピアノの音色に胸が締め付けられる。なんだ、あっぱってちゃんとした曲もあるんじゃん(失礼か)

 

 

さて、昨日、あっぱの『MANTRA』というアルバムを注文した。届くのが楽しみである。感想はまたいつか、近いうちに。

 

東京事変『大発見』をレビューしてみた

f:id:katja1331:20180115095044j:image

『大発見』(だいはっけん 英題:Discovery)は、2011年6月29日に発売された日本のバンド東京事変の5枚目のスタジオ・アルバム。発売元はEMIミュージック・ジャパン/Virgin Music。(Wikipediaより)

 

私が東京事変に出会ったきっかけでもあるこのアルバムを改めて聴いてみた。

 

1.天国へようこそ For The Disc

昔聴いていた時は、何やら不気味で、あんまり好きではなかったというか、苦手な曲だったのだが、今改めて聴いてみると、昔の自分をぶん殴りたくなった。 なんと素晴らしい曲だろう。

妖しげで、どこか異国情緒を感じるメロディ。

謎めいた雰囲気に一気に引き込まれてしまった。

2.絶対値相対値

唸るギターが印象的な一曲。原曲も充分良いが、Discoveryバージョンは痺れるほどかっこいい。

3.新しい文明開化

アップテンポのロックなナンバー。MVも非常に面白い。キュートでセクシーな椎名林檎サイケデリックなスーツに身を包みギターを掻き鳴らす浮雲、飛行機のパイロットに扮した伊澤一葉、無邪気な笑顔でボタンを連打する刄田綴色、そして新しい亀田誠治

見るたびに新しい発見がある、楽しいMVである。

https://youtu.be/lcz89e42XEM

4.電気のない都市

『大発見』のオフィシャルインタビューで、林檎さんはこのように語っている。

 

「これは伊澤の書いた曲です。いい曲ですけれど、私は震災前も後も関係なく、長らくこの曲の正体が上手く掴み切れなかったんです。震災後、計画停電が行われた日、さいたま新都心の、スーパーアリーナを含むその周辺の灯りがすべて消えてしまっている光景を見たら、急にあのイントロのピアノが聴こえてきた。それは繰り返しではなく、たった一度切りの、“鳴った"切りの音楽だとすぐに分かりましたので、逃さず形にしなければと思いました。」

(http://www.tokyojihen.com/sp/notes/interview/toct27070/)

 

この曲を聴くと、明かりが消え、静寂に包まれた街の姿が思い起こされる。澄み切った冬の夜空のように透明感のある美しいピアノの音色と、胸を締め付けられるような切ない歌詞が印象的な一曲だ。

5.海底に巣食う男

なんとも怪しげなタイトルである。浮雲節が炸裂している。浮雲氏の作る曲はスルメ曲が多いように感じる。噛めば噛むほど味が出る。不思議な魅力満載な一曲である。

6.禁じられた遊び

このアルバムの中で上位に入るほど好きな一曲。…だったのだが、林檎博'14の時のアレンジが好きすぎて、原曲のバージョンでは物足りなく感じてしまった。恐るべし、椎名林檎

 7.ドーパミント!

亀田師匠のベースがかっこよすぎる。ジャジーなアレンジが光る一曲。

8.恐るべき大人達

タイトル通り、気怠げで「大人」なムードの曲。真夜中にドライブしながら聴きたい。免許持ってないけど。

9.21世紀宇宙の子

キャッチャーで爽やかなメロディとまっすぐな歌詞。今までありそうでなかったタイプの曲かも。

10.かつては男と女

メロディとしては、印象は薄めなのだが、歌詞が良い。小説の一節のようなフレーズは非常に美しい。お気に入りの部分はこちら。

『ひと気のない湿った目抜き通り。夕涼に視線を逃がしながら「お互い老けたね。」と、言う貴方の表情は子供のようで、あどけなく八重歯を残す。』

11.空が鳴っている

空が鳴っている」とは、雨が降り出す前の、どんよりと垂れ込めた雲の中で雷が唸っている状態を指すのだろうか。今から何かが起こりそうな、緊張感のあるメロディが印象的である。

MVも、映画さながらのクオリティとなっている。意味ありげなシーンがいくつも登場するので、それぞれの関係性を想像してみるのも面白いと思う。髪の毛がサラッサラな浮雲氏が見どころだ。

https://youtu.be/Y4f1cdNv_M8

12.風に肖って行け

 疾走感のあるナンバー。間奏がかっこいい。

13.女の子は誰でも

椎名林檎ワールド全開。宝石箱をひっくり返したようにまばゆくてオシャレな一曲。MVもこれまたオシャレ。林檎さんの華麗なダンスと、男性陣のぎこちなく愛らしいダンスの対比が面白い。

https://youtu.be/8tTkCZzRx5Q

14.天国へようこそ For The Tube

1曲目の「天国へようこそ」とはまた違った雰囲気である。歌詞は英語に、曲調はさらに妖しげになっている。自分の葬式の時にかけてほしい。

 

このアルバムは全体的に、卓越したリリックセンスの光る楽曲が多いように思われる。
東京事変の魅力、可能性を再発見、いや、大発見できるアルバムだ。

 

東京事変に本格的にハマる。

f:id:katja1331:20180115094036j:image 

私が東京事変に出会ったのは、中学生の頃だろうか。兄が借りてきた『大発見』というアルバムが、車でよく掛けられていたのを覚えている。

 その頃から、なんとなく東京事変が好きになった。車中で「女の子は誰でも」をよく口ずさんだものだ。

 しかし、どハマりするまでには至らなかった。

「へー、このバンドいいやん。椎名林檎がボーカルなんや」ぐらいの認識だった。

 

そして、歳月は流れた。

2016年12月31日。私が東京事変と言う名の沼に沈むことになる、歴史的な出来事が起こる。(大げさか)

それは、紅白歌合戦を見ている時のことであった。

黒装束に身を包んだ椎名林檎が、自身のソロ曲である「青春の瞬き」を歌っていた。

と、視界の端に誰か映る。

それはまさしく、東京事変のメンバー達であったのだ(※この時はまだ、ベースの亀田誠治氏以外の顔は知らなかったのだが)。

「と、東京事変…?!たしか、解散したはずでは…?!」

私は林檎さんのパフォーマンスが終わるやいなや、YouTubeを開き、東京事変の曲を漁りまくった。

数年ぶりに彼らの曲が聴きたくなったのだ。

そしてめでたく、私は東京事変と言う名の、深い深い沼に沈んでいったのであった。